教員の紹介Faculty
小野 正樹ONO Masaki
- 人文社会系(国際日本研究専攻)教授
- 日本語教育学・日本語学
Japanese language education / Japanese linguistics
主な担当授業
日本語の語用論、日本語の語用論演習 など
研究分野の紹介
言葉の研究は、形式的な研究と機能的な研究に大きく分かれるでしょう。形式が追究するものは規則です。機能が追究するものは原理です。日本語は長い歴史を持っていますが、その時代変化の中で文法も語彙も常に変化しています。現代日本語の分析を通じて、普遍的な原理を見つけ出していくことが目標です。日本語を見つめる際に、日本語だけを見ていてはわからなく、どうしても他の言葉を意識する必要があります。「動詞」や「名詞」という品詞がない言語がないように、「依頼」「断り」という行為がない言語もないでしょう。しかし、各言語により動詞の文法的な働きや用法が異なるのと同様、依頼という行為も言語や社会によって、表現方法・談話構成、そして、依頼者の意識は違うようです。ポライトネスなど語用論というアプローチが、人間間のコミュニケーションの原理を見ていきたいと考えています。
研究業績
- 山岡政紀・牧原功・小野正樹共著(2010年)『コミュニケーションと配慮表現 日本語語用論入門』明治書院
- 砂川有里子・加納千恵子・一二三朋子・小野正樹共編(2010)『日本語教育研究への招待』くろしお出版
- 小野正樹「日本語思考動詞の主観性」『ひつじ意味論講座 第5巻 主観性と主体性』澤田治美編
- 小野正樹・李奇楠共編(2016)『言語の主観性―認知とポライトネスの接点―』くろしお出版
※こちらからダウンロードできます。
これまで指導した主な卒業論文
- スロベニアにおける日本語学習者のビリーフ研究
- 日本人の「断り」場面における言語行動―「断りにくさ」と「方略」の関係を中心に―
- 「とか」・「なんか」の比較考察―とりたて詞を中心に―
- 日本語母語話者の断り場面における「ノダ」文の使用について―ポライトネスの観点から―
- 野球指導におけるスポーツオノマトペ―指導書と小学生を対象とした調査から―
- 「てもらって(も)いいか」の形式・機能の考察―文機能・ポライトネスの観点から―
- トーク番組にみる日本語のあいづち使用について―韓国語のあいづちとの対照―
メッセージ
大学生の楽しさは、学内外で何でもできるということでしょう。1980年代の学生時代、一人でせっせと吉野、伊勢、白河、松島などの日本国内、そしてインド、中国、韓国と歩き回りました。自由に旅する喜びと、無常の寂しさを常に感じながら、いろいろな人と出会いました。人間は複雑ですね。コミュニケーション論では、一人でいたいという気持ちと、誰かと繋がっていたいという2つの意識があるとされます。
インドでヒンドゥ教やイスラム教世界を回った後に、仏教聖地に行ったときには、今まで感じたことがなかった親近感を感じたことを鮮明に覚えています。そうした旅人の気持ちが理解したくて、卒業論文では中世の歌人、西行法師を選びました。彼の歩いた道をひたすら逍遙しました。変化の激しかった当時の彼の歌から、旅人の彼は何を考えていたのだろうか、そんなことをじっくり考えることは楽しいものです。歩きながら考えていきませんか。