学類長のことばMessage
筑波大学日本語・日本文化学類にようこそ。いま私たちが生活する世界は、飛躍的な勢いで変化しております。通信技術革命だけでなく、人間の能力を凌駕する人工知能開発や民間企業による宇宙旅行が、同時並行で起こっています。それに伴い、私たちの考え方も変化を余儀なくされ、旧来の価値観や規範だけでは、私たちを取り囲む複雑な状況を理解するのが難しくなってきています。もはや私たちは、何が正しいのかを判断することすら、困難な不透明な時代に生きていると言っても、過言ではありません。
そうした状況の中にあって、自分の視点で社会や世界を理解することの必要性は、ますます高まっています。どんなに素晴らしい考えやアイデアも、情報化社会の中では、陳腐なものになることは避けられません。大切なのは、誰かの考えに依拠するのではなく、自分の眼で見て、考え、感じることのできる、たおやかな感性を磨くことではないでしょうか。こうした感性は、社会や政治の分断や差異を乗り越えて、他者との共感をベースとした絆を作り、そして寛容さへと誘ってくれます。これは私たちが願う平和で公平で、サステイナブルな社会構築に向けた一歩になると考えます。
筑波大学日本語・日本文化学類は1985年に設立され、筑波大学の中では比較的新しい学類です。1学類1専攻であることから、基本的に学類生全員が、言語学、日本語教育、文学、・歴史学、文化人類学といった幅広い学問領域を通じて、日本語と日本文化を多角的な視点から学ぶことが求められています。
そのためには、過去の知見を吸収し、現状を理解して、その上で直面する課題と向き合う必要があります。古今東西の古典と呼ばれる先達の英知を学ぶかたわら、広い視野で日本を眺め、海外の地域社会や文化と比較することが、重要です。つまり、日本語・日本文化学類は、日本のことだけを学ぶ場ではないのです。日本語と日本文化を切り口にして、時間と空間を乗り越えるための新しい比較の視点を獲得する場なのです。
日本語・日本文化学類には、言語、日本語教育、文学・歴史・文化という3つの学問領域を軸とした、体系的なカリキュラムが準備されています。それに従って学修すれば、卒業研究まで行ける仕組みが出来上がっています。実践を通して新しい視点を獲得するための国内外実習も、多数提供されています。必要なのは、日本語・日本文化学類の仲間になりたいというパッションと、日本語と日本文化に対する旺盛な好奇心です。このウエブを見てくれた人が、日本語・日本文化学類に興味関心を抱いてくれることを期待しております。