モスクワ市立教育大学(2017年5月) - 日本語・日本文化学類 筑波大学 人文・文化学群

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モスクワ市立教育大学(2017年5月)

2017/05/12 ロシア 田中結梨

5月に入り、長い間地面を隠していた雪も、もうすっかり溶けてしまいました。青空が見える日も多くなり、気温も高くなってきて、やっと長い冬が終わったかな、という気持ちです。それと同時に、日本の桜がこんなに羨ましかったのは初めてです。今はチューリップとたんぽぽがたくさんありカラフルなモスクワですが、やはり日本の桜は春を象徴する特別な花だな、と思わされました。
今日は3月と4月についてレポートしたいと思います!

血の上の救世主教会
血の上の救世主教会

3月8日は「女性の日」という祝日でした。この日ロシアでは、男性が女性に花を贈ります。ロシアで花はとても人気があります。町中にある24時間営業の花屋さんや、地下鉄でブーケを持っている女性は、その人気を強く反映していて、日本で見ることのない景色に最初は驚きました。3月8日に花を贈る文化があることは以前から知っていたのですが、この日は特別、地下鉄や町中で花を持っている人がたくさんいました。花を贈ることが「特別」というよりは「当たり前」であるかのような感じを受けました。この文化を日本に持ち帰ることができたら…という思いもあります。

3月中旬には、モスクワより少し北に位置するサンクトペテルブルクに旅行しました。サンクトペテルブルクはロシアの中でも有名な観光都市ということもあり、多くの中国人観光客や日本人観光客がいました。モスクワで普段生活している中で観光客を見かけることは珍しいので、不思議な感じがしました。私たちが訪れた日、ちょうどロシア正教において特別な日だったらしく、教会には多くのロシア人が集まってお祈りをしていました。多くの人が同じ場所で同じ宗教を信仰してお祈りをする姿は、宗教によって人と人とがつながっていく、そんな宗教の力の強さを感じさせるものでした。綺麗な景色と街並みに癒された旅行でした。

プーシキンの家博物館
プーシキンの家博物館

4月には、モスクワで毎年開かれている日本についてのイベント「Hinode Power Japan」に行きました。任天堂のゲームや日本刀の販売、ヨーヨー釣り、箸で豆をつかむゲームなどがあり、日本が恋しくなりました。特に印象に残ったのが、会場にたくさんいたコスプレイヤーの多さです。ロシア人の日本語学習の動機付けで「日本文化への興味」からという人は多くいます。私の教えている学生や知り合った日本語学習者の中にも、アニメや漫画が好き、ドラマが好きだから日本語を勉強し始めたという人がいました。このイベントにも、日本の漫画やアニメのキャラクターのコスプレをした人がたくさんいました。私は日本の漫画やアニメについてあまり知識がなかったので、何の漫画のどんなキャラクターなのか詳しくわかりませんでしたが、日本の現代文化がロシアで非常に人気があるのだということは伝わってきました。

Hinode Power Japanで学生と一緒に
Hinode Power Japanで学生と一緒に

日本人からすると「ロシア」と聞いて思いつくのは「北方領土」とか「寒い」とか「危ない」というマイナスイメージが多いかもしれません。しかし、ロシアの人々にとって日本はとても魅力的で素晴らしい国として受け入れられているのだと思いました。私がモスクワで過ごしていく中でも、日本と違う点を感じることは多々ありますが、日本人が思っているほど、この国は悪い国ではないと思います。一方で、やはり実際に生活してみないとその国の文化や習慣についてわかるものではありません。私もモスクワで暮らすようになって半年が経ちますが、未だに慣れられないことや驚くこと、戸惑うこともたくさんあります。しかし、やはり日本という住み慣れた場所ではない国での生活は、難しくもありますが面白いなと感じます。残り2か月、モスクワでの生活を楽しみたいです。

5月と6月は、日本語教育のプログラムの最後の2か月となります。日本ではこんなにたくさんの授業をすることや、日本語の授業見学をすること、そして日本語学習者とたくさん話すことはできていなかったので、この時間は自分にとって非常に貴重なものであると感じています。1日1日を大切に、たくさんのことを吸収していきたいです。


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