パダン(2019年5月) - 日本語・日本文化学類 筑波大学 人文・文化学群

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パダン(2019年5月)

2019/05/10 インドネシア 鈴木海翔
書道
写真:派遣校以外にも15校で活動させてもらいました。

Selamat siang!(こんにちは)
日本語・日本文化学類4年の鈴木海翔です。

前回のパダンの紹介にひきつづき、今回は、私が参加した日本語パートナーズというプログラムを紹介したいと思います。

日本語パートナーズとは、簡単に言えば、日本語教師のアシスタントとして現地の日本語教師をサポートするプログラムです。
主な活動は、派遣先の高校の日本語の授業にアシスタントとして参加し、生の日本語を聞かせたり、日本文化を紹介したりします。日本で言うと、英語の授業のALTみたいな感じです。

私の場合は高校1年生から高校3年生までの計16クラスで教えました。

浴衣
写真:ほとんどの生徒が浴衣を初めて着ました。

授業では、授業のテーマに合わせた日本事情や日本文化を紹介しました。
例えば、観光地がテーマの時には、日本地図を使って観光地の場所を紹介したり、私の出身地の栃木の観光地をプレゼンしたりしました。
また日本文化では、浴衣、茶道、書道という伝統文化から、たこ焼き、おにぎり、カレーなどの食べ物、高校生の生活やダンス、宗教というものまで幅広く文化を紹介しました。

日本語の授業に参加して、生徒の日本語のレベルを上げるというよりは、生徒が日本や日本語により興味をもってもらうための活動でした。
私が作った新聞で紹介した「すごい」「いいね」などの日本語を使ってくれたり、「おはようございます」や「こんにちは」という挨拶をしてくれる生徒も増えました。

Waspada
写真:生徒たちとフットサル!
  まだまだ高校生には負けてられません。

初めは授業にあまり積極的に参加してくれなかった少しやんちゃな生徒も、一緒にフットサルをしたことで仲が深まり、授業にも積極的に取り組んでくれるようになりました。

私が派遣されたこの7ヶ月が生徒たちにとってどのような意味をもったのか、何をできたのかは正直分かりません。
でもどこかで彼らの記憶に残り、あんな日本人もいたな、と思い出してくれれば嬉しいです。

パダンでこんな経験がありました。私が日本人と分かると、「わたしは○○です。」と日本語で自己紹介してくれたり、「ありがとう」と言ってくれるインドネシア人が多くいました。
どうして日本語が話せるのか聞くと、彼らが高校生のときや大学生のときに、出会った日本人に教えてもらったとのことでした。
私の生徒もどこかで日本人に会ったとき、日本語で話して、日本人と交流してほしいと思います。私の活動は微力だったかもしれませんが、どこかで繋がっていってくれることを願っています。

先生たち
写真:温かく家族のように接してくれる先生たち

最後に、この日本語パートナーズを通して何が得られたのか、について述べようと思います。

もちろん価値観が広がったのは間違いないです。日本では経験できないようなことを経験でき、イスラム教の生活の中にもどっぷりと浸かり、イスラム教への理解が深まり、寛容で柔軟な考え方もできるようになったと思います。
日本語教育に関しても、大学で勉強している机上の知識だけでなく、この7ヶ月を通してリアルな学習者の様子や成長を感じることができました。先生として過ごしたこの7ヶ月は大きな大きな経験になりました。
インドネシア語に関しても、ゼロからのスタートだった私が、今ではインドネシアの映画を楽しめるまでに語学力を身につけることができました。

しかし、さて、何を得ることができたのか。
この答えはまだわかりません。

これから生活していく中で、これからの人生の中で、この日本語パートナーズとしての経験がいきてくるのだと思います。あの経験があったから、というときが来るのだと思います。

この7ヶ月を通して、少しは成長して、たくましくなったであろう自分自身にこれから期待したいと思います。


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