パデュー大学(2020年1月) - 日本語・日本文化学類 筑波大学 人文・文化学群

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パデュー大学(2020年1月)

2020/01/31 アメリカ 花見ちひろ

 みなさん、こんにちは。日日2015年卒の花見ちひろと申します。
 前回のレポート では、私の日本語教育との出会い、日日での日々、そしてアメリカに行くことになった経緯についてお話ししました。
 今回のレポートでは、アメリカの大学院生生活や就職活動についてお話ししたいと思います。

 私は、2015年の8月に パデュー大学(Purdue University) での大学院生活をスタートしました。
 日本語プログラムは、 College of Liberal ArtsのSchool of Languages and Cultures というところに属していて、主に日本語教育学や応用言語学について、修士課程または博士課程で学ぶことができます。
 私は、大学院に合格した時にティーチングアシスタントシップもいただくことができたので、2年間、修士号取得のために大学院生として学びながら、ティーチングアシスタントとして日本語を教える経験もすることができました。
 学生として自分が学ぶことと、先生として日本語を教えることを並行する生活はとても忙しかったですが、その後の就職活動のために教授経験があることは重要ですし、授業料の免除や給与のサポートもあった(これは各プログラムによって違います)ので、私はこのチャンスを手にすることができて本当によかったと思っています。

卒業式の日
写真1:卒業式の日(パデュー大学のPの文字像と一緒に)

 プログラムが募集する大学院生の数は、前年度の卒業生の数やプログラムのニーズによって毎年変わります。
私が入学した年は偶然新入生が多く、様々なバックグラウンドを持つ同期たちと、共に切磋琢磨しながら学ぶことができました。
 私のように大学卒業後すぐに来た人は比較的少なく、日本や外国で社会経験のある人、アメリカや他の国の教育機関で教えた経験のある人、アメリカの高校や大学を卒業した人など、様々でした。

 授業は、日本語プログラムの先生方による日本語に特化した授業が中心でしたが、第二言語習得や言語教授法、カリキュラムデザインなどの授業は、他言語プログラムの大学院生との共通の必修科目であり、他学部によって提供されていることも多かったので、ほとんどが英語で行われました。
 ドイツ語やフランス語、英語学部などの大学院生と一緒に学ぶ機会があったことは、色々な分野に情熱を持つ同志と知り合う機会にもなり、とても刺激的でしたが、特に1学期目は、なかなか周りのスピードについていけず、もどかしい思いを何度もしました。
 色々なことを周りと比べて、くじけそうになっていた時、ある先生に、
「あなたなら、日本語を学ぶ学生の気持ちがよく分かるはず。今の気持ちを忘れないで。いつかあなたはきっといい先生になると思う。」
と言われ、とても励まされました。
 そのおかげで、怖がらずに授業を楽しめるようになったり、あえて日本人のいない環境に自分から飛び込むことで色々な人とのつながりを作り、その後の大学院生活を送ることができました。

 勉強だけでなく、ティーチングも、手探りでした。
 私が大学院1年次に担当した1年生と、2年次に担当した2年生の日本語のクラスは、火木はレクチャラーの先生が文法を導入し、月水金はアシスタントがディスカッションの授業を担当します。
 レクチャラーの先生のもと、複数のアシスタントがチームになって教えるので、足並みを揃えるために定期的にミーティングがあり、コースを運営するための様々な情報を共有しながら進めます。
 ティーチングのスキルアップのため、先生が授業見学に来て指導してくださったり、アシスタント同士で見学をし、アドバイスし合ったりすることもよくありました。
 また、教室の外でも学生の学びを広げるサポートしたいと思い、日本語プログラムのイベント委員会で様々な活動をしました。
 例えば、日本語ムービーナイト(作品の監督や時代背景について学びながら日本の映画を見るイベント)や「茶の間(授業では扱わないような日本語や日本文化を紹介し、それを中心に日本語のレベルを超えて集まった学生がカジュアルな雰囲気で話す)」、スピーチコンテストなどを企画運営しました。そして、週末は小学生に日本語を教えていました。
 上手にできる自信がなくても、その時の精一杯の力で色々なことに挑戦し、自分の糧にしたいと思っていました。
 卒業する年には、大学院でのパフォーマンスによって選ばれるAcademic Excellenceの賞をもらい、とても嬉しかったです。

賞状
写真2:賞状(大学院時代に受賞したアワード)

 大学院生活も終わりに近づくと、いよいよ就職活動の時期がやって来ます。私の経験内でお話させてもらうと、こちらでの就職活動には、履歴書(日本の一般的な履歴書とは違います)、ティーチングフィロソフィー(自分の教育理念について書いたもの)、学生による授業評価、推薦状、自分で作成したシラバスなどの資料、授業風景を撮影したビデオなどが必要になります。
 まず、教育学会などのホームページにある求人情報をチェックし、応募資格、仕事内容、必要書類、プログラムのホームページなどを見て、応募先を決めます。
 締切りまでに必要書類を提出し、書類審査が通った場合は、次にスカイプなどを使ってオンライン面接を行う場合が多いです。そこでは、応募先の先生方と英語または日本語でお話しする機会をいただけます。
 オンライン面接を通過した後は、もう一度オンライン面接や電話面接がある場合と、キャンパスインタビューといって、実際に応募先のキャンパスに行って面接をする場合があります。
 私は日本ですら就職活動をしたことがなかったので、右も左も分かりませんでしたが、大学院の先生方のサポートや先輩方のアドバイスのおかげで、なんとか、初めてのフルタイムのお仕事をいただくことができました。

 大学院で過ごした2年間は、本当にあっという間で、短かったけれど、とても濃密でした。
 卒業後、SNSなどで大学院時代の友人たちがそれぞれの場所で活躍している姿を見る度に、私も負けないように頑張らなくてはと刺激をもらっています。

 次のレポートでは、私の卒業後の生活についてお話しします!


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